交通事故でけがをした場合の休業損害

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はじめまして。和輝法律事務所の弁護士です。これから、このブログを通して、我々が勉強会を通して学んだ情報を、できる限りわかりやすく発信していきたいと思っています。

休業損害が賠償される場合

例えば、デスクワークで働いていた会社員Aさんが交通事故の被害に遭い、両腕を骨折した場合、事故前と同じような業務は困難と言えるでしょう。会社へ休業の申し出をし休むことはできたとして、休んだ日の給料は全額、必ず、支払われるとは限りません。この場合に、怪我をして支払われなかった給料が「損害」として賠償の対象になりこれを休業損害と言います。

では、有給休暇を使って給料が減らなかった場合、損害は無いと言えるでしょうか。

また、専業主婦の人は、そもそも給料は発生していませんが、家事に大きな支障が生じてしまっても何ら考慮されないのでしょうか。

1,給与所得者の場合
・受傷によって休業したことによる現実の収入減があった場合、その金額が休業損害と認められます。
・現実の収入減が無くても、有給休暇を使用した場合は休業損害として認められています。
2,専業主婦の場合
受傷のため家事に従事できなかった期間について、休業損害が認められています。
(最判昭50.7.8)

具体的な損害額の算定方法

給与所得者の場合、事故前3か月分の給与を基礎として計算し、事業主に支給しなかった給与の額を算定してもらいます。有給休暇を消化した場合も、算定方法は一義的ではありませんが、「本来なら自分のために自由に使用できる日を事故による傷害のために欠勤せざるを得ない日に充てた」として、休業損害算定の基礎日数とした判例があります。(神戸地裁平13.1.17)

家事従事者については、自分以外の家族等のために家事に従事していた主婦について、賃金センサス女性学歴計による額を基礎として怪我の程度、家事負担の程度等を鑑みて損害が認められています。