大阪市北区の裁判所すぐそばの法律事務所、和輝法律事務所です。
毎月の勉強会で気になった判例をご紹介しています。今回は、車の評価損についてお伝えしたいと思います。
1 評価損が認められる場合って?
評価損は、車を売却して初めて損失が現実化するため、修理後、実際に売却しない場合の算定は難しいです。そのため、事故車の市場価格が高いほど評価損が認められやすいとも言えます。
市場価格が高くなる要因としては、初度登録から間もない車、走行距離が少ない車、高級車がイメージしやすいと思います。
2 高級車とは言えない場合にも評価損が認められた裁判例
【事案の概要】
原告車は、日産デイズルークス、初度登録から1年3か月、走行距離約2193㎞であったところ、被告車両と衝突し、センターアウタピラー(車体の骨格部分)が損傷しました。
【原告の請求と裁判所の判断】
原告は、本件事故による損傷箇所であるセンターアウタピラーは車体の骨格部分に相当し,この部分への修復を要することは,車体への物理的衝撃が大きく,事故前の状態への完全な修復は困難である。また,中古車市場において修復歴の表示義務も生じることから,本件事故によって修復のみによっては回復し得ない交換価値の低下が生じているとして、修理見積額の3割が賠償されるべきである。
として、8万7182円を請求。
これに対し裁判所は、原告車は、未使用車として購入した令和元年9月初度登録の日産デイズルークスであり,本件事故当時の走行距離は2193kmであったこと,本件事故により左センターアウタピラーの修理を要したこと,レッドブックでは同種 車両の時価は127万円であることが認められるとした上で、
同車は国産大衆車に属するものの,本件事故まで初度登録から約1年3月しか経過しておらず,走行距離も約2193kmにとどまること,センターアウタピラーといった車体の骨格部分を損傷していることなどからすれば,いわゆる中古販売業者で購入したものであるとしても,評価損として,修理費の15%である4万3591円の損害を認めるのが相当であると判断しました。
本事例以外にも、高度なリーガルサービスの提供を届けられるよう様々な事例を研究しております。
本記事をお読みになられた皆様が、もしも気になるようなことございましたら、HPを御覧いただきお問い合わせください。