大阪市北区の裁判所すぐそばの法律事務所、和輝法律事務所です。
これまでの様々な分野の勉強会を弊所では行っており、気になった裁判例を簡単ではありますがご紹介します。
今日は、賃借人がベランダで迷惑行為をしていることに対する対処についてご紹介します。
素材は、東京地裁令和2年1月30日となります。
1 要点
ベランダにおいて、専有部分の賃借人が迷惑行為を行っていることに対し、管理組合法人が賃貸借契約を解除させ専有部分の引き渡しを求めたというものです。
2 事実概要
専有部分の賃借人が、長期(一度は裁判を受けて止めていたが、しばらくして再開)に渡り、ベランダにおいて、継続的に鳩等の野鳥に餌やりを行い,その糞等により,共用部分であるベランダを汚すと共に,近隣の居室や,居室下の1階駐車場利用者に甚大な被害を生じさせていた(本件迷惑行為)というものです。
3 結論
賃借人の行った本件迷惑行為について、区分所有法60条1項の適用を認め専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを認めたものです。
4 関連する法律および規約
区分所有法6条1項3項、60条1項
区分所有法6条1項
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
区分所有法60条1項
第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
規約5条2項、13条、67条3項4項(当該マンションにおける規約)
規約5条2項
占有者は,対象物件の使用方法につき,区分所有者がこの規約並びに総会及び理事会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
規約13条
区分所有者は,敷地及び共用部分等をそれぞれ通常の用法に従って使用しなければならない。
規約67条3項
区分所有者がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき,又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは,理事長は管理組合法人を代表して,理事会の決議を経て,次の措置を講ずることができる。
一 行為の差止め,排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し,訴訟その他の措置を追行すること
規約同条4項
前項の訴えを提起する場合,理事長は,請求の相手方に対し,違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。