管理規約違反のシェアハウスへの対処

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大阪市北区の裁判所すぐそばの法律事務所、和輝法律事務所です。

これまでの様々な分野の勉強会を弊所では行っており、気になった裁判例を簡単ではありますがご紹介します。
今日は、賃借人がベランダで迷惑行為をしていることに対する対処についてご紹介します。
素材は、東京地裁令和2年1月16日となります。

1 結論

賃借人が管理規約に違反して、シェアハウスとして利用していることが、区分所有法6条1項「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」といえる。区分所有法57条1項に基づき、賃貸人(区分所有者)および賃借人に対し「シェアハウス」に供することの禁止を裁判所が認めたものです。

2 事案

時系列としては、事後的にシェアハウスを明示的に禁止する管理規約を追加した。上記追加についての総会では、管理規約47条5項に記載された者ではない者が区分所有者から委任を受け代理人として出席して、区分所有法31条1項第2文の「承諾」をした。上記シェアハウス禁止規約が追加後の時点において、外国籍の者21名がシェアハウスとして利用をしていた。

3 関連する区分所有法、規約など

区分所有法第6条1項

区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

区分所有法57条1項

区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

標準管理規約12条

区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

本裁判例における改正後管理規約

2 区分所有者は、専有部分を、直接・間接を問わず、別紙 2 で定めるところの「シェアハウス」に供してはならない。

3 理事長は、専有部分がシェアハウスに供されていると認めたときは、当該専有部分の区分

所有者に、専有部分をシェアハウスに供することを中止することを請求することができる。

(以下、略)

〔別紙 2〕

 「シェアハウス」とは、専有部分の全部または一部(以下、単に「専有部分」という。)の利用形態が、以下に掲げる各項のいずれかに該当する場合における当該専有部分の長期・短期の利用様式をいう。

 (1) 専有部分の居室(キッチン、トイレ及び風呂を除く。以下本項にて同様。)の数(以下「室数」という。)を超える数の者(区分所有者、区分所有者の親族、区分所有者からの賃借人、上記賃借人の親族(以下あわせて「縁故者」という。)を除く。)による継続的な居住、宿泊または滞在。

 (2) 室数を超えない数の不特定の者(縁故者以外の者でいずれの縁故者も常時かつ明確に住所、氏名及び職業(就業就学先を含む。)を把握していない者をいう。)による居住または宿泊。

 (3) 縁故者を含む複数の者による居住、宿泊または滞在で、直接・間接を問わず、複数の者から居住、宿泊または滞在の対価を徴収することを予定しているもの。

 (4) 前各号のためにする改築・改装。